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[[HA23]]の舞台の一つ。東京湾に浮かぶ人工島。東京湾アクアライン海ほたるの西南西に位置する。
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[[HA23]]の舞台の一つ。東京湾に浮かぶ人工島。
    
その設計と施工は『[[譲原家]]』とその関連組織によって行われた。
 
その設計と施工は『[[譲原家]]』とその関連組織によって行われた。
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オノゴロ島は通称であり、正式名称は『東京湾特別行政区敷設予定人工島跡ごみ最終処分場予備地』。住所は東京都千代田区に属する。
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オノゴロ島は通称であり、正式名称は『東京湾特別行政区敷設予定人工島跡ごみ最終処分場予備地』。住所は東京都千代田区に属する。<br />
一般流通する日本国の地図には表示されず、住所も一般には公開されていない。ただし東京湾航海図と国土地理院が発行する高精度地図には表示されている。
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一般流通する日本国の地図には表示されず、住所も一般には公開されていない。ただし商業用の航路図や高精度地図には表示されている。
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一般の方法で知り得る情報。(技能値目安10)
 
一般の方法で知り得る情報。(技能値目安10)
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『東京湾アイランド構想』の中核であり、外国人観光客向けの一大スポットとして空港や商業施設、宿泊施設などを集約した特別行政区となる予定であった人工島。面積は約30ha<br />
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『東京湾アイランド構想』の中核であり、外国人観光客向けの一大スポットとして空港や商業施設、宿泊施設などを集約した特別行政区となる予定であった人工島。面積は東京湾中央防波堤より一回り小さい程度。<br />
 しかし『東京湾アイランド構想』は突如として中止され、建設されていた埋め立て地は『[[譲原家]]』の手を離れ政府の管轄となり、手付かずの空き地となった。当時を知る者の一部は『無闇な開発事業の典型的な敗北結果』として揶揄している。
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 実際に埋め立てまで行われ、島の基礎が完成するまで計画は進んだがしかし、『東京湾アイランド構想』は突如として中止される。その後建設されていた埋め立て地は『[[譲原家]]』の手を離れ政府の管轄となり、手付かずの空き地となった。当時を知る者の一部は『バブル期の無闇な開発事業の典型的な敗北結果』として揶揄している。
    
遠目から見た島の様子は閑散としており、平らな全貌の上にまばらに建設途中で放棄された構造物やクレーンなどが見て取れる。
 
遠目から見た島の様子は閑散としており、平らな全貌の上にまばらに建設途中で放棄された構造物やクレーンなどが見て取れる。
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非日常の側面から得られる情報。(技能値目安13)
 
非日常の側面から得られる情報。(技能値目安13)
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一般には明かされていないが、『東京湾アイランド構想』は戦後間もないころに官僚の一派閥から上がったものである。大量の外貨獲得を行うことを目的として考案したものであり、その核心は公営カジノの設立だった。つまりカジノが合法化されることが不可欠であり、日本においてその実現は困難だった。
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一般には明かされていないが、『東京湾アイランド構想』は戦後間もないころに米国に親しい官僚の一派閥から上がったものである。大量の外貨獲得を行うことを目的として考案したものであり、その核心は公営カジノの設立だった。つまりカジノが合法化されることが不可欠であり、当時の日本においてその実現は困難だった。
    
しかし、70年代末期に『[[譲原家]]』がこの構想に着目したことで状況が変わる。
 
しかし、70年代末期に『[[譲原家]]』がこの構想に着目したことで状況が変わる。
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古くから不動産と建築業で富と権力を成し、行政のフィクサーとして君臨していた譲原家は、程なくしてその影響力をもって『カジノ特別行政区に関する法律』の可決を国のシナリオとして決定づけた。カジノ派の官僚派閥はカジノの設立を叶えその利益を得ること、譲原家はその見返りとして将来に渡る莫大な建設利権の大部分を内々に獲得したのである。
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古くから不動産と建築業で富と権力を成し、行政のフィクサーとして君臨していた譲原家は、構想に係る完了派閥を取り込んだ。程なくしてその影響力をもって国が公営カジノを合法とするように誘導し、その可決までのシナリオを用意した。そして譲原家はその見返りとして将来に渡る莫大な建設利権を独占したのである。
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西暦2000年。シナリオに合わせて、先発している幾つかの東京湾岸地区の再開発を隠れ蓑に人工島の建造が開始された。<br>
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西暦1988年。シナリオに合わせて、先発している幾つかの東京湾岸地区の再開発を隠れ蓑に人工島の建造が開始された。<br>
しかし、2008年12月。当時の譲原家の当主が急逝したことから自体が一変する。豪腕として知られた当主の逝去により譲原は内部分裂を起こし、フィクサーとしての影響力を大きく欠いてしまったのである。このお家騒動が原因で『カジノ特別行政区に関する法律』は半ば頓挫し、計画の進行が事実上不可能となってしまう。連鎖的に関連する事業が相次ぎ破綻し、その負債を補填するため譲原家は建設利権を含めた資産を切り売りすることとなってしまった。
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そうして『東京湾アイランド構想』はまるでそもそも存在していなかったかのように人々の記憶から消え去った。
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この時期にオノゴロ島は作業員が退去し完全な無人となり、契約交渉の混乱でその所有権すら曖昧な状態となる。しかしオノゴロ島は既に9割の施工を終え、誰もがその姿を確認できるものとして存在していた。オノゴロ島は本来の役割を果たせなくなり、行き場なく宙吊り状態で残ったのである。
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 しかし、2008年12月。当時の譲原家の当主が急逝したことから自体が一変する。当主の逝去は譲原家の内部分裂の末の出来事と噂されているが、真相は不明である。
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そこから異変が発覚したのは2013年のことである。
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この騒動によって譲原家は力を半減し、フィクサーとしての影響力を大きく欠くこととなった。譲原家の力が弱まったことにより政界の勢力図も激変することになり、計画の進行が事実上不可能となってしまう。
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島は不可解にも長らく誰の目にも止まらず放置され、この年にやっと政府の管轄として管理されることとなった。しかし、その時には既に島はなんらかの超常的な力に包まれ、島内は空間が大幅に拡張された完全な[[他界]]となってしまっていたのだ。
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連鎖的に関連する事業が相次ぎ破綻し、その負債を補填するため譲原家は建設利権を含めた資産を売却。その計画の名残は東京湾岸の再開発事業として再編され、『東京湾アイランド構想』はまるでそもそも存在していなかったかのように人々の記憶から消え去った。
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この時期に、オノゴロ島は作業員が退去したことで完全な無人となり、契約交渉の混乱でその所有権すら曖昧な状態となる。しかしオノゴロ島は既に施工を終え、誰もがその姿を確認できるものとして存在していた。
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 そこから異変が発覚したのは2013年のことである。
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島は不可解にも長らく誰の目にも止まらず放置され、この年にやっと政府の管轄として管理されることとなった。しかし、その時には既に島はなんらかの超常的な力に包まれ、島内は空間が大幅に拡張された完全な[[他界]]となってしまっていた。
    
== 島内の現状 ==
 
== 島内の現状 ==
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島そのものが既知の魔術や技術と異なる不明な原理で、外部からの認識を阻害する力場を放射しています。その効力は力場に対して抵抗する思考を持たないすべての意識体に作用することが確認されています。力場の効果により大衆のオノゴロ島へ対する認識は非常に希薄であり、図らずも島の隠蔽に寄与しています。しかしながら日本国政府はこの力場だけでは島の完全な隠蔽と封鎖には不十分だと判断し、島外からもこの力場を補強する形で結界を施しています。
 
島そのものが既知の魔術や技術と異なる不明な原理で、外部からの認識を阻害する力場を放射しています。その効力は力場に対して抵抗する思考を持たないすべての意識体に作用することが確認されています。力場の効果により大衆のオノゴロ島へ対する認識は非常に希薄であり、図らずも島の隠蔽に寄与しています。しかしながら日本国政府はこの力場だけでは島の完全な隠蔽と封鎖には不十分だと判断し、島外からもこの力場を補強する形で結界を施しています。
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力場以外の島の異常性は実際に上陸した場合にのみ現れます。島外から見た場合、島の姿は所々に建造途中で放棄された鉄筋構造やクレーンがあるのみで特筆するべきものはありません。島に上陸した場合、そこには本来存在しないはずの地形や構造物が出現します。それらは海岸部付近だけで少なくとも2314ヶ所存在します。島内ではユークリッド空間も大幅に拡張されており、その拡張比率は島の中心に向かうほど指数関数的に増大していきます。これは調査団が現地で計測した移動距離で示されました。現在島内に広がる敷地は外周部だけでも少なくとも1300k㎡以上拡張されていることが判明しており、調査団の見解ではそのさらに数十倍と示唆されています。
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力場以外の島の異常性は実際に上陸した場合にのみ現れます。島外から見た場合、島の姿は所々に建造途中で放棄された鉄筋構造やクレーンがあるのみで特筆するべきものはありません。島に上陸した場合、そこには本来存在しないはずの地形や構造物が出現します。それらは海岸部付近だけで少なくとも2314ヶ所存在します。島内ではユークリッド空間も大幅に拡張されており、その拡張比率は島の中心に向かうほど指数関数的に増大していきます。これは調査団が現地で計測した移動距離で示されました。現在島内に広がる拡張領域は面積にして1300k㎡以上拡張されていることが判明しており、調査団の見解ではそのさらに数十倍と示唆されています。
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島内には人類に限定されない知性体による都市国家規模の文明社会が複数確認されています。それらの社会は部外者に友好的なものから排他的なものまで様々です。それらの勢力の大半は複数の中立な交易地で交易をおこない、見かけ上は互いに不可侵の姿勢を示しています。海岸に近い領域では現代文明に近似した社会が存在します。これらは島の封じ込めを行う以前に島へ侵入した外部の個人または組織が構築したものと思われています。島の中心部へ向かうほど文明体系は現実と乖離する傾向にあります。現在確認されている島のもっとも深い位置にある集落では古代ケルト文化と唐王朝時代の中国の二つに類似性を示す文化を持つ未知の種族によって構成されていました。
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島内には人類に限定されない知性体による都市国家規模の文明社会が複数確認されています。それらの社会は部外者に友好的なものから排他的なものまで様々です。それらの勢力の大半は複数の中立な交易地で交易をおこない、見かけ上は互いに不可侵の姿勢を示しています。海岸に近い領域では現代文明に近似した社会が存在します。これらは島の封じ込めを行う以前に島へ侵入した外部の個人または組織が構築したものと思われます。島の中心部へ向かうほど文明体系は現実と乖離する傾向にあります。現在確認されている島のもっとも深い位置にある集落では古代ケルト文化と唐王朝時代の中国の二つに類似性を示す文化を持つ未知の種族によって構成されていました。
 
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==== 空港 ====
 
==== 空港 ====
オノゴロ島南端部に存在する離れ小島。元空港建設予定地で、現在は政府の唯一の拠点。後述するゲブラーゲートによってオノゴロ島本島と接続している。島と直接繋がっていないためか、島の影響が最も少ない。
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オノゴロ島南端部に存在する離れ小島。元空港建設予定地で、現在は政府の唯一の拠点。後述するゲブラーゲートによってオノゴロ島本島と接続している。本島と直接繋がっていないためか、島の影響が最も少ない。
    
==== ゲブラーゲート ====
 
==== ゲブラーゲート ====