吹利の人穴
吹利山南壁にある巨大鍾乳洞。
「日本の民話」によると、吹利の人穴から入って、地下の国を放浪したという話がいくつかあります。「八百の国をへめぐりて、神々の(特に龍神)の助けにより地上に戻る事ができたものの、既に長い年月が経っていた」などと書かれている。
紅雀院大学探検部の調査によれば、総延長は40km以上(メモ:長すぎるので4kmくらいのほうがいいかも)。ただし、地元の人が「蛇神(へびがみ)の社」と呼んでいる洞窟は、どれほど深いのかが分からないほどの大断層があり、その先についての調査はできなかったために、真の総延長は定かではない。
旭テレビ出版『人穴伝説を探る3−吹利の人穴−』より
1985年08月30日に旭テレビで放映された、同名の金曜スペシャルの内容を書籍化したものです。
その昔、鎌倉時代の事だといわれているが、石田三郎という若武者がいた。彼は吹利山に巣食う鬼達にさらわれた妻を求めて、吹利の人穴に足を踏みいれた。しかし、それはすべて、彼の妻を狙う兄達の企みであった。そうと知った三郎であったが、既に人穴の奥深くに入り込んでしまいもはや戻る道すら判らなくなってしまったと言う。
彼は言葉も通じない異様な風体の鬼や天狗、馬人(うまひと)が住む 800の地下の国をさまよい、幾多の試練を経て、偉大な仙人と蛇神(オオナムチであるらしい)の助けを借りて、ついに地上に戻り、妻を取り戻したのだと言う。
鬼達が人穴に巣食うようになるまでは、天狗達が吹利山を制していたが、役行者の手で封じられてしまったと言う。その後、平安末期にはこの地に鬼達があらわれ、頻繁に村人達を襲ったが、室町以降にはいつのまにか鬼があらわれる事が少なくなったとのことである。