デュラハン Dullahan
アイルランドやスコットランドなどといったケルト民族圏の民話、伝承に登場する首が無いか、腕に抱えているかする甲冑姿の妖精。
元々はバン・シー(Bean Sidhe)などの妖精と同様、ケルト神話に登場するバイヴ・カハ(Badhbh Cath)の零落した姿なのだろう。発生初期は女の姿をしていたようだ、時代を経るにつれて騎士甲冑の姿に変じていく。
デュラハンは近いうちに死人の出る家を予知し、コシュタ・バワー(Coite-bodhar)と呼ばれる首無し馬に曳かせた黒い馬車に乗って現れる。馬車の音を鳴らして家の戸口に立ち、もし、家人がその戸を開けたなら、桶一杯の血を浴びせ掛けられる。
バン・シーと同様、何処の家にも訪れるものではなく、特定の高貴な家にしか現れないとも言う。
予知の一年後に再び訪れて、家人に死をもたらし予知を成就されるともいう話もある。
ちなみに、Coite-bodharとは無音の馬車という意味らしい。
スリーピーホローの首無し騎士や、都市伝説の首無しライダーもこの亜種だろう。
狭間的な解釈
妖精郷のような他界の住人とするのが自然。だが、必ずしもそうでなければならないというわけでもない。
思い切って死霊魔術師により作られたアンデッドモンスターや、凶科学者によって改造された首着脱式のサイボーグにしても良いだろう。マジンガーZに登場するブロッケン伯爵もある意味デュラハンといえるかもしれない。
HA06:イーファ・ニ・マッハの場合
ダーナ族マッハ氏族の娘。その名の通り、バイヴ・カハの一柱であるマッハの直系。アーサー王周辺の伝説に登場する緑の騎士などの血も混ざっているらしい。
祖神たるマッハに由来する真紅の鎧を身に纏う。デュラハンとしては少々特殊だが、馬車には乗らず愛馬のコシュタ・バワーを単騎で乗り回す。死を予告し、桶一杯の血を浴びせ掛けるなどは一般的なデュラハンと同様。
現実と虚構の境界に存在するらしく、日の光に当たると透けて消える。だが、まあ根性出せば消えないで居る事も出来るようだ。
北アイルランド、アーマー州のナヴァン・フォートの丘砦に入り口が存在するエヴァン・マッハ妖精郷の出身。
HA06:ローラ・オニールの場合
首が外れること、馬術に長けていることといったデュラハンの特徴を持ってはいるが、人間の血も濃く引いているようで、鎧は着たことがない。出身地は「古くから人間と妖精が共存する村」という設定。
「死を予告する」能力は、人間の血を引いたこと、そして人間界の医学の進歩など、さまざまな要因が複合して消失してしまった、と設定している。
また、人間の血を引いたことで、本来女妖精であるデュラハンに男性も出現した、という設定(案)もある(ローラの父)。