神話 Myth
「神話」は、しばしば「太古の神々や英雄らの行動物語により、氏族や事物の来歴を説明する物語」と理解される。
しかし「氏族や事物の来歴を説明する物語」には、伝承者の属す文化で「伝説」と理解され「神話」とは区別されていた事例が少なくない。
こうしたタイプの文化では、多くの場合「神話とは、人間主体の歴史がはじまる以前の時代についてを語る物語」と理解されていた、と整理されている。
「人間主体の歴史がはじまる以前の時代」とは、例えば、「世界が生まれた頃で、まだ人間がいない時代」であり、「あるいは、神々が人間と立ち混じることも頻繁にあった時代」といった具合に、理解内容には文化ごとのバリエーションがあった。共通するのは、「神話が実際に語られていた“今”とは、遠く離れた過去についての物語」という理解だ。「神話の時代」は、大洪水などの天変地異で、“今”とは多かれ少なかれ断絶がある、かに語る物語は多い。
これに対して、「伝説」は、多くの場合、「近い過去ではないが、神話の時代ほど遠くはない過去についての物語」とイメージされたケースが多い、とされている。
例えば、『日本書紀』の「神代」の部分は、以降の部分と意識して区別して編纂された、と考えられている。
あるいは、ギリシャ神話の「英雄時代」の物語は、古代ギリシア人の間では、トータルには「神話時代」の物語とイメージされた、とされる。
さらに、ある民族で古くは「神話」とされていた物語の一部エピソードが、後々「伝説」と理解されるようになることもあれば、ある民族が別の民族の「伝説」を参照して、自分たちの「神話」の一部として語り伝えたと思われる事例などもある。
また、ある民族の内で共通理解としては「伝説」と目されていた物語が、特定の家門や親族の間では、神話のように重んじられていた事例も知られている。
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- http://www.wako.ac.jp/souken/touzai03/tz0301.html
- モンゴルのシャーマニズムと世界観についてなどの記事があります。