LCoNDC02

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題名

小説『探偵部倶楽部最後の事件』 Part2.Days

責任者

miburo

梗概

 探偵倶楽部の面々はロッジに着いた。

本文

 「なかなかいいじゃない」
 ゲレンデを降りて30分ほど歩くと、みのりの叔父が経営するというロッジに
着いた。丸太組みと針葉樹、それに雪が調和してカナダかどこかへ来たかのよ
うだ。まあ後ろを振り返るとこじんまりとしたゲレンデが見えてしまうのだが。
「連続殺人が起きたとかそういう面白い建物だったりしないの?」
「いえ、とくにそういう話は聞いてませんが」
「つまらないわね……なってないわよ、漣」
「無茶言うな。半額で利用させてもらえるんだから、なんでもいいだろう」
「ロマンの無い男」
 そう決め付けると光太郎は、みのりから鍵を奪いさっさとロッジに入ってい
った。なによ、中も寒いじゃない、とか、小暮、荷物をよこしなさい、とか騒
いでいる。丸一日滑ってさらにここまで歩いてきたのに無駄に元気だ。ほかの
面々も、ロッジの西側にかためられた雪にそれぞれのボードやスキー板をさし、
入っていく。
 ロッジの周囲やスキー場までの道のりは、すでに管理人によって雪かきがさ
れていた。20メートルほど離れて、同じようなタイプのロッジが建っているが、
そちらは前庭のウッドデッキが白いままだ。赤く色づいたカナメモチが、かろ
うじて境界を示している。
 操が後ろを振り返ると、赤く染まったゲレンデが見えた。人はずいぶん少な
くなって、喧騒はここまで届かない。時折、名前のわからない鳥の羽音がする
くらいで、ロッジの周りはひどく静かだ。スキーヤー達が小さな影絵の虫のよ
うで、操は神経質そうに首を振ると、自分の肩を抱くようにして中に入った。

 ロッジの二階には3つしか寝室が無いため、必然的に男達は一階のリビング
ということになった。寝室には二段ベッドがあるので、正確には一人だけリビ
ングに放置すればよいのだが、それはちょっとむごいだろう。体格の関係でそ
の一人が特定されてしまう以上なおさらである。
「漣、あんた彼女と一緒の部屋にすればよかったのに」
「それはちょっとフーキ上いかがなものかと思った」
「あんたの口から風紀なんて言葉が出てくるとは思わなかったわ」
「当麻君は存在が公序良俗に反してるよね」
「こやつめ、ははは」
「ははは」
 光太郎を横目に見ながら操は荷物を置くために二階に上った。みのりと同じ
南西の部屋である。スキーウェアから平服に着替えようとしていたみのりが操
を認め、軽く会釈してくる。生粋の部員でない操は少し会話に困り、ようやく
ひとつ話題を見つけた。
「ペンションって冬だけでしょう? やっていけるのかしら」
「夏も一応避暑に来るみたいです」
「ああ……夏も……そう」
「でも半分趣味みたいなものって言ってました。林業がダメらしくって。山を
一つ遊ばせておくよりはましだろうってことみたいです」
「山。山って」
「はい。スキー場は違いますけど」
 あるところにはあるものね、というありきたりの感想を胸にしまい、どうや
ら自分が着替え終わるのを待っていたらしいみのりと一緒に部屋を出た。

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展開についての提言

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